家庭裁判所の判断を経ないで,預貯金の払戻しを認める方策です。


     遺産分割前の払戻し制度の創設等については,大別すると,家庭裁判所の判断を経ないで預貯金の払戻しを認める方策と,家事事件手続法の保全処分の要件を緩和する方策に分かれます。


    そのうち、家庭裁判所の判断を経ないで仮払いを認める制度についてです。

共同相続人は,遺産に属する預貯金債権のうち,各口座ごとに以下の計算式で求められる額(ただし,同一の金融機関に対する権利行使は,法務省令で定める額(150万円)を限度とする。)までについては,他の共同相続 人の同意がなくても単独で払戻しをすることができるようになります。これは、たとえば、 生活費や葬儀費用の支払,相続債務の弁済など の資金需要に対応できるよう,遺産分割前にも払戻しが受けられるようになりますので、便利でしょう。

    【計算式】
 単独で払戻しをすることができる額=(相続開始時の預貯金債権の額)×(3分の1)×(当該払戻しを求める共同相続人の法定相続分)